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2021/09/13 17:46

What Made Duck.


AsukaHayashi Interview


・なぜ、アヒルのキャラクターを生み出したのですか? 


自分が大人になって気付いたことなんだけど、僕は子供の頃から少数派になってしまう「ヒト・コト・モノ」を自然と選んできていました。特に意識してやっていたわけではないんだけど。

そのせいで、社会に上手く適合できないことや、一般理論を正義とする大人から「白い目」で見られることも多々あって。

自分自身、元々まわりの目を気にするタイプでもないから、それがストレスになる事もなかったけど、「なぜそんな目で僕をみるんだろう」って子供の頃はよく感じてた気がする。

でも、自分の力だけで、”今の自分” を手に入れたわけでもなくて、僕の場合は年齢に伴うそれぞれの場面で、少数ではあるけれど、自分の存在を認めてくれるヒトが必ずいて、自分は運が良かったんだなって思う。

例えば、学校で僕のことを良く思わない先生が9人いたとしても、1人の先生は味方になってくれる。みたいな感じ。だから、そういった存在を大切にしたいって思う。

これまでに関わった、友人や先輩も含め、支えになってくれるヒトに出会ってなかったら、自分の色や個性は、社会に消されてしまっていたかもしれないし、強く自分を信じることは出来なかったかもしれないから。

そんな事を思い返してるうちに、みんなの場合はどうなんだろうって。

皆が皆、自分と同じ境遇の中で生きてきたわけではないと思うし、

普段、何気なく街を見渡していると、この社会の在り方に、自分の色や個性を消されてしまった人もいるのかなって感じます。

それを、強く思ったきっかけがあって、娘の幼稚園の発表会で「クレヨンの歌」みたいな題名の曲で、歌詞の中で「みんな違う色~♪」みたいなことを歌ってるんだけど、みんな同じ格好してて、その矛盾に笑っちゃうっていうか、自分の娘にとってはあまり良い教育だとは思わなくて。

だから、娘たちには外で習ってくることの”逆”を教えるようにしてる。どっちが良いとかではなくて、大衆論は嫌でも入ってきちゃうから、逆行することの面白さも伝えたいよね。

そんなこんなで、徐々にこの社会の在り方の不思議に気付きはじめて、戦後何十年も経ってても、この国は軍隊みたいだなって感じる。

人と違うことにコンプレックスを持つこと自体がズレてるし、むしろ、それが個性であり、生まれ持った自分の色なんだから、それを大切にしてほしいと思う。

今、考えてみれば、僕もシャイだけど、みんなが超シャイだから、僕が悪目立ちしちゃってた感じもあると思う。

そんなことを文化服装学院時代からの親友であり、仕事のパートナーである(EDING:POST)のトモに話していたら、飛鳥の人生は「みにくいアヒルの子」みたいだねって言われたのが今回のきっかけ。

元々、自分のファーストネームに因んだ、”鳥” をモチーフにした紋章を作りたい。って相談してたこともあって、それをキャラクター化しようってなったんだよね。

それで、今回のフィギュアを作るにあたって、”HUMAN ROBOT TOYS” のシゲキにキャラクターデザイン~原型製作までお願いしようってことになって。

これまた、文化の同級生なんだよね。

ちょっと話がそれちゃうけど、文化服装学院って個性の集団みたいな感じだから、本当に行ってて良かったなって思う。通っただけで助けてくれる仲間は増えるし。

ある程度、年を重ねて、力を合わせられることも今は本当に幸せに感じる。

それで、今回のNEONdUCK プロジェクトが始まって、2人に相談しながら、共同製作しました。

最終的にサブタイトルは “Neo WORLD ORDER”(新世界秩序)になったけど、最初のキーワードは、

「世の不条理と戦うアヒルの集団」「それぞれが自分の色を持っている」「コンプレックスは自分の色であり魅力である」「全員が主役になれる」「本来の自分の色でいいことの証明」「世界を考えるニューウェーブ」とか。僕のいろんな思いを汲み取ってもらいながら、ブランドや自分自身を象徴するものとして製作しました。


・服作りとの関係性について教えてください。


みにくいアヒルの子のストーリーそのものが、ブランドの根底に据えたテーマでもあって、

社会に染まり、自分の色を隠すのではなく、「自分の色でいること」「自身の個性や、マイノリティな部分」を大切にしてほしいと考え、製作したコレクションです。

個人的なファッションルールとして、「多数派側にいるって気付いたら、何かを変える」ことを念頭においています。

コレクションでは、毎シーズンに渡り、提案するアイテムやスタイルをガラッと変化させるのも、それが理由の一つです。

古着とか、音楽をルーツにしたファッションを追いかけることも重要だけど、それがスタイルに昇華された時点で、ファッションを楽しむ事とは、少し違う気がする。

一つのモノに固執し始めると、みんなが同じになっていっちゃうから、つまらなく感じるよね。

制服みたいな感じで。

だから毎日同じものを食べるよりは、鮮度のある新しいものを食べてるほうがファッションらしくて好きかなって。

同じでもいいけど、食べ物のトッピングを変えたら生まれ変わるみたいに、それぞれ工夫は必要だと思う。ずっと大切にしたいものは、身体に馴染ませながら、自分の色にしていきたいよね。

これまでの人生で、いろんなマイノリティに支えてもらったように、

自分はファッションデザイナーとして、社会から個性の灯りが消えないよう、”マイノリティを照らす” 役割を担うことができればと考えています。

人生のラストシーンを考えたときに、「自分の色でいられる社会」になっていることを願いながら、日々、色々なプロダクトに挑戦しています。

今期、21AWコレクションでは、鳥をモチーフにしたシルエットのカッティングや、ディテールを取り入れて製作しました。

千鳥格子とブランドコンセプト ”MMMMMMWMMM” を組み合わせたモノグラムも発表したので是非チェックしてみてください。

NEONdUCK - Ne ARGO-


詳細はこちらから




 
PANDEAD/HUMAN ROBOT TOYS
2015年「HUMAN ROBOT TOYS」を開始。
オリジナルトイをはじめ、漫画、アニメのキャラクターグッズ、アーティストコラボ、企業コラボなど、幅広いジャンルでの原型を製作。
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